TRIGGER27.5:DYAD

2014年8月 8日


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さぁ、TRIGGER27.5のバイク本体に目を向けていきましょう。
このバイクの画期的な部分といっても過言ではない場所。
それは、


【DYAD(ダイアードと読みます)】


2つの異なるショックが1つにまとまっている。
というと理解しやすいと思います。
2つの異なるショックをハンドルに付いているレバーを使うことで切り替え、走る場面に合わせて使い分けることができるのが【DYAD】なのです。


難しくないのです。
シンプルに感じ取ってください。


上の写真が【DYAD】の心臓部です。
ゴツゴツしていて重そうですが、バイクの中心にあるのでバイクに乗っていて重さを感じないのは素晴らしいところ。
このメカメカしいところをどのように調整すればいいのかをこれからご紹介していきます。


まず、この【DYAD】には2つの異なるショックがあると言いましたが、トラベル量の違う2つのショックが存在しています。
■1つは85mmのショック。
■もう1つは140mmのショック。
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上から見たとすると、右側が85mm、左側が140mmのショックになります。


この2つのショックをハンドルにあるワイヤー式のレバーで切り替えることができるのです。
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2つのショックを手元のレバーで切り替えることで何が変化するのか。
■ジオメトリー(わかりやすく言いうとフレームの角度)


■ジオメトリーの変化について
簡単には「上りモード」と「下りモード」に変化すると理解して頂ければ大丈夫です。
「上りモード」では、BB位置が上がり、シートアングル、ヘッドアングルが立ち気味になります。
そうすることで、上体が起きペダリングに力を入れやすくなります。
「下りモード」では、BB位置が落ち、シートアングル、ヘッドアングルともに寝た状態になります。
身体全体が低い位置で収まり、安定した乗車ポジションをとりやすくなります。


図で見るとこんな感じです。
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レバーを奥に押すと「上りモード」


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レバーを手前に戻すと「下りモード」


ここまでは理解して頂けましたよね?
さぁ、次にいってみましょう。


それぞれのショックの使い分けについてです。


■85mm(上りモード)ショックについて
上り坂が続く場面や、下りからの登り返し、または永遠と続くような舗装路ではこの「85mmショック」を使うと走りやすいです。
身体では動いているか動いていないか感じにくいストローク量ですが、オフロードを走ればしっかりと動いて身体への衝撃を和らげてくれているのを感じとることができます。
また、上り坂などで路面がボコボコした場所では、このショックが細かく動き、タイヤが滑らないように調整してくれているのを感じるはずです。
先日のBIG ENDUROの時にボコボコの石が続く場所では、サドルに腰をどっかり座ったままでも上体は安定し、尚且つタイヤはしっかりとグリップした状態で登り続けることができました。
ハードテールバイクでは腰を浮かせ、空気椅子状態で走り続けなければいけなかったので、バイクに助けられました。
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このショックのオススメの調整方法をお教えします。
それは、ショックが沈み込んでから戻るスピードを調整する「リバウンド調整」の方法です。
ショック内の流れるオイルの量を調整することで、体感するショックの特性を変えることができるのです。


今回の旅では多くの場面で舗装路を走ったり、1時間以上登る坂道がありました。
その時に後ろのショックが「ふわふわ」していては力が逃げているようで嫌な感覚を感じるはずです。
そこで、その「ふわふわ」感を解消するのに、「リバウンド調整」を使います。
調整するレバーは写真の赤い部分です。
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左に回す(FAST)と沈み込みからの戻るスピードが早くなります。
右に回す(SLOW)と戻るスピードがゆっくりになります。


体感的にはFASTにすると、サスペンションがよく動いているような感覚になり、「ふわふわ」感も増します。
逆にSLOWにすると、サスペンションがあまり動いていないような感覚になり、「ふわふわ」感が弱くなります。


この調整の幅は約15クリックあり、それを自分好みに調整しながら自分の求める走りに近づけていきます。
自分の場合は、全開にSLOW側に閉めきったところからFAST側に『5クリック』のところが体感的に気持ちの良いところでした。
そうすると、舗装路で高速走行している時もペダルに力を入れていてもバイクが上下に暴れず、下からの衝撃が来たときだけ「スコッ!」と動き、戻りはゆっくりと滑らかに普段の乗車ポジションに戻すことができました。


■140mm(下りモード)ショックについて
下り坂続く場所や、路面の荒れた平坦路ではこの140mmショックを使って走った方がバイクが良く進むし、「楽」に乗ることができました。
平坦路でも綺麗で固く締まった部分や、舗装路では【85mmショック】を
ボコボコや、根っこが続くような平坦路では【140mmショック】という風に使い分けることでバイクの性能をフルで発揮できると感じました。
140mmショックを使っているときはほとんどサドルに腰をおろしていても身体が暴れることがなく、バイクも安定した状態を保つことができました。
どこを走っても余裕がある。
それがこの140mmショックの魅力だと思います。


【85mmショック】から【140mmショック】に切り替えると、BB位置が落ちるので、ガクッ!とサドルの位置が下がるのがわかります。
あ〜「楽」なポジションだぁ〜と感じるはずです。
逆に【140mmショック】から【85mmショック】に切り替えるときには、サドルの上から腰を浮かしバイク全体を0Gにしてあげて、ペダルの上でジャンプするようにすることで、ジオメトリー変更することができます。


根っこが続く下りセクションではバランスを崩さないようにまっすぐ乗っているだけで、バイクがすべてをやってくれる。という感覚を得ることができます。
とても優越感を感じる瞬間です。
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こちらのショックも先ほど同様、オススメの調整方法があります。
上と同じように「リバウンド調整」のレバーを使って調整します。
こちらは、しっかりと動いている感覚と、サスペンションの速い動きを手に入れたいので、FAST側に閉めきった位置からSLOW側に『3クリック』した位置が自分の1番気持ちの良い場所でした。
こうすることで、タイヤが路面を常に追従しバイクの安定感を高めてくれました。


140mmショックを使用しているときはサスペンションが沈み込んだ状態ではBB位置がかなり下に移動します。
そのため、シフトワイヤー類ははじめから「長め」に調整し、余裕ある状態にしておきます。
間違ってもロードのようにフレームに綺麗に収まった状態では1回のジャンプでワイヤーが「ブチッ!」となってしまいますね。
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さて、ここまででも相当長くなってしまいましたが、【DYAD】を使いこなすにはもう1つ調整が必要になってきます。


それは『エア圧の調整』です。


乗る人によって最適なバネの硬さは違ってくるのでここで調整します。
この【DYAD】には2つのエア室があって、1つがポジティブ側、2つ目がネガティブ側と明記されています。
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このままではわかりづらいですよね。


■ポジティブ側のエア室:バネの硬さと理解してください。
バイクにまたがった時にどれくらい沈むか(サグ量)を決定するエア圧になります。


■ネガティブ側のエア室:沈み込み初期の硬さと理解してください。
エア圧を高くすると、沈み込み初期が入りやすく、エア圧を落とすと初期の沈み込みがゆっくりになります。


このエア圧の調整についてはキャノンデールから推奨値が公表されていますので、ここに貼り付けます。
自分でさまざまなエア圧を試しましたが、結局はこの表の推奨値に落ち着きました。
自分の場合は体重58kgで走るときの装備や、水を合わせると61kg。
推奨値通りにポジティブ側を「230Psi」ネガティブ側を「225Psi」に設定すると、どんな場面でもショックを使い切ることができました。
圧を上げるとショックが硬い感じになり、圧を落とすと物足りない感じになりました。
皆さんも乗るときは多少の前後はあると思いますが、推奨値での設定をオススメします。
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いかがでしたか?
【DYAD】についての理解を深めてもらうことができましたか?
2つのショックを使い分けながら、そして、そのショックの調整を自分好みにできた時には世界に1台だけの自分専用バイクが出来上がっていると思います。


ライダー達の【DYAD】についての映像を見ながらこの回を終了したいと思います。
DYAD Rear Shock


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